『日月神示』― 新時代となったいま、知っておくべき予言書
2020年から新型コロナウイルスがまん延し、すっかり世界の様相は変わりました。一時は多くの人が家にこもり、いまやテレワークという働き方も当たり前です。こういった世の中の大きな転換期に、流行るのが「予言」や「占い」です。
自分たちはどうなってしまうのだろうという不安や、説明のつかない災害・事件を納得させるために「予知されていた事象なのか」「この先の未来は明るいのか」と、予言を知りたくなるのでしょう。
そして、新しい生活様式がはじまったこの数年で、ひそかに日の目を見た予言があります。それは「日月神示(ひつくしんじ)」という、めずらしい日本の予言書です。いったいどんな予言なのでしょうか。誕生した歴史背景も含めてお伝えします。
『日月神示』とは
『日月神示』という言葉を聞くのが初めての方も多いでしょう。『日月神示』とは、神典研究家であり画家でもある岡本天明という人物が残した予言書のことです。
予言と聞くと、『ノストラダムスの大予言』のような古い書物をイメージする方も多いかもしれません。しかし、『日月神示』は2022年の現在からさかのぼると、たった60年ほど前に記し終えたばかりの予言書です。
日本はもともと予言書が少ない国ということもあり、このように注目される以前から一部の人の間ではよく知られていました。
岡本天明から『日月神示』がうまれるまで
『日月神示』を知るにはまず、岡本天明のことを少し知らねばなりません。
岡本天明は1897年に岡山県の倉敷市で生まれました。幼い頃から霊力があり、人には見えないものが見えたり聞こえたりしたそうです。
また画才もあり、17歳のときには自身の絵画の個展を開きました。その後上京して明治大学へ入学。1920年に卒業後は新聞社で働きますが、ここで当時流行っていた新宗教・大本教(教祖・出口なお)にも触れることになります。新聞社の社長が大本教で心霊研究をしていた関係で、天明は神がかりによって口寄せする霊媒役をたびたびさせられていました。もともと霊能力がある天明は、このような心霊実験に何度も参加することでリーディングに慣れていったようです。
そして1944年、とうとう『日月神示』のはじまりともいえる出来事が起きます。
第二次世界大戦で日本が劣勢の中、戦争の行方を知るために「フーチ(扶箕)」と呼ばれる中国の占いをすることになったのです。
フーチは、よく日本の子どもが遊ぶ「こっくりさん」みたいなものです。コンパスを逆さにしたようなV字の棒の先にペンをつけ、端と端を2人の人間が持ちます。神霊が降りるとそれが動いて文字を書いてみせ、神託が告げられるという占いです。
研究者や軍人などのメンバーが集うフーチの実験に、天明は占いの意味を解釈し、神霊と人間の対話の際に司会をする「審神者」として参加しました。そのとき、V字の棒が動いて文字が書かれ、「天之日月神」と名乗る神霊が神託を告げたそうです。
天明の身に起きた本格的な自動書記
フーチのように、自らの意志に反して神霊の力が働いて文字を書き、神託が告げられることを「自動書記」と呼びます。
天明は先のフーチの実験の際にあらわれた「天之日月神」がどういった神なのか正体を知らなかったのですが、たまたま知人の誘いで現在の千葉県成田市のあたりを訪れ、麻賀多神社という神社に立ち寄ったところ、その境内に「天之日月神神社」という末社が鎮座しているのを見つけました。フーチとの一致に気づいた天明は御礼参りをしたそうです。
その後、社務所でくつろいでいるときに急に額に衝撃を感じ、腕に激痛が走ったそうで、リーディングに慣れていた天明はそれが神霊によるものだと気づいたそうです。彼は画家でもあったため、紙とペンをとり出したところ、自動書記がはじまりました。書かれた文字は、本人も読めない数字や記号の羅列でした。
この日以降にも自動書記はたびたび起き、そのたびに天明はあらがえない力で文字を書かされ、それは彼の亡くなる2年前まで続きました。その結果、これらの自動書記をもとに執筆された書物は、補完版も含めると全部で39巻にもおよぶ超大作となりました。
内容は天明でも解読できず、研究者や霊能者、さらに天明の妻の助けを借りて解読作業が行われました。それは天明の死後まで続き、ようやく読んで理解できる書物になりました。しかし、文字の羅列や数字が多かったり(数字は1つで複数の意味を持つ)、神道に傾倒した思想が強かったりと、必ずしも正確に読解されているとはいえないそうです。
天明が日月神示を自分用に清書しても、気づくと清書した紙は白紙になり、自動書記で書いた原本のみ残っていたというので、原本にはよほど効力や意味が詰まっているのでしょう。
日月(ひつく)の神は国之常立神
日月神示を降ろした「天之日月神(あめのひつくのかみ)」は、日本神話に出てくる「国之常立神(くにのとこたちのかみ)」だといわれています。
「国之常立神」は高天原(たかまがはら)と呼ばれる天界が宇宙の中で最初にできたときに生まれた神様で、国の土地の永久不変性を司っています。
天皇家の祖先・天照大御神(あまてらすおおみかみ)よりも先に生まれている神様であるため、しばしば国之常立神を信仰する人々は弾圧されることもありましたが、非常にパワーのある神様として篤い信仰を集めています。
『日月神示』の示す予言
『日月神示』は、食べ物のことや夫婦で大事にした方がよいことなど、生活上のアドバイスのような話から、この世のつくりについての説明など内容は多岐に渡りますが、近年注目されているのは予言の部分です。
『日月神示』の中には「三千世界の大洗濯」や「大峠」と呼ばれる大きな苦難が二度訪れること、50人の救世主があらわれて日本を救い「ミロクの世」が訪れることなどが予言されています。
一度目の「大峠」は第二次世界大戦で敗戦することを指しているといわれています。「ぐにゃぐにゃの骨なしの人間になってしまう」という文章がありますが、これは、GHQに占領されたあとに誇りを失ってしまう日本人を表しているとされます。
二度目の「大峠」は何を指しているのか定かではありませんが、北から日本へ攻めてくるものがあって世界が荒れるという記述があり、「おろしやにあがりておりた極悪の悪神」というフレーズの「おろしや」が「恐ろしい」と「ロシア」をかけているのではないか、という説もあります。
また、破壊の後には最終的に「ミロクの世」という理想郷が訪れると予言されているのですが、「ミロクの世」は「五六七の世」という字を書くため、「五六七(コロナ)」を表していると解釈されています。これまでの世界の破壊(コロナ)を皮切りに、新しい世の中になるのではないかと考えられています。
まとめ
『日月神示』は、比較的新しい予言書であるため、まだあまり研究されておらず、最初に読み解かれた解釈も不十分であるといわれているので、もしかしたら今後さらに新しい解釈が発見されるかもしれません。
「国之常立神」の教えや、さらに詳しい予言を実生活に活かしたいという方は、『日月神示』研究の第一人者とされる中矢伸一氏の『完訳 日月神示』を読まれてみてはいかがでしょうか。わかりやすく書かれているのでお勧めです。
『日月神示』が書かれて間もないいまを生きている私たちには、二度目の「大峠」がすでに起きているのか、これから起きるものなのか、体験して知ることができる特権があるのかもしれませんね。