生まれ持った特性がわかる⁈ アーユルヴェーダで健康に!
リモートワークなどで在宅時間が増えて体がなまっている人は多いのではないのでしょうか。運動不足になりがちで、ヨガやジムに通ったりする人もいるでしょう。こういったヨガやリラクゼーションでよく聞く「アーユルヴェーダ」という言葉をご存じでしょうか。
芸能人にもアーユルヴェーダを取り入れている人が増え、一般にも広く知られるようになりましたが、なんとなく体に良さそうというイメージがあっても、アーユルヴェーダがどんな思想を大事にしているのか理解していない人も多いのではないでしょうか。
今回はいま人気のアーユルヴェーダの基本的な考え方と実践方法についてお伝えします。
Contents
アーユルヴェーダとは
アーユルヴェーダとは古代インドから受け継がれてきた健康についてのさまざまな教えがつまった伝統医学のことをいいます。伝統医学とは、現代医学以前までの古くから行われてきた医学を指し、漢方などの東洋医学、チベット医学、ユナニ医学、アーユルヴェーダの4つが伝統医学といわれています。中でも、アーユルヴェーダは歴史が約5000年といわれる世界最古の現存する医学で、その考え方はインドだけでなく日本を含めた世界中に広まっています。
「アーユル」は生命、「ヴェーダ」は科学を指し、生命の科学(アーユルヴェーダ)という意味を成します。アーユルヴェーダでは、人間の体は自然の一部であるため、自然界で起きていることは人間の体でも起きる、と考えられています。
この世界の生命はすべて5つのエレメント「地・水・火・風・空」から成り立っているとされ、ビッグバンで宇宙ができたときに「空」のエレメントが生まれ、地球ができてから残りの4つのエレメントができました。人の体質もこのエレメントによって傾向を分類することができるため、自分のエレメントを知り、「ボディ・マインド・スピリット」の広い視野から内在力を高めることを目的としています。
アーユルヴェーダというと、眉間のチャクラの位置にオイルを垂らすシロダーラ(脳の浄化)が有名ですが、それはアーユルヴェーダを実践する手段の一部にすぎません。アーユルヴェーダでは「人それぞれが本来の性質を発揮して心地よく生きていくための心身の整え方」を大切にしています。「デトックス」はアーユルヴェーダ発祥の言葉なのですが、心と体をデトックスすることを目的とした体質別健康法や、生活習慣、ヨガ、瞑想、食事法、マッサージに取り込んで行うアーユルヴェーダもあります。
体へのアプローチ
アーユルヴェーダでは、心身ともに自然界で起きていることが反映されており、アーユルヴェーダが生まれたときのインドでは自然界で起こっていることをご飯の炊き方にたとえて説明しました。自然界ではちょうどいい強さの風が吹けば、ちょうどよい火がつき、ちょうどよい水があればご飯が炊ける、だから同じように、風や火や水の要素がうまく作用すれば健康でいられるというお話です。このように自然で起きていることを理解し、把握していれば、ご自身の健康に役立てることができます。
「地・水・火・風・空」の5つのエレメントは「ドーシャ」とよばれ、ドーシャのバランスによって、体質や性格の差、体調の変化、健康増進法や病気の予防法がわかるため、自分の心身とうまく向き合っていくことができます。このとき、心に関係するドーシャを「メンタルドーシャ」、体に関係するドーシャを「ボディリ・ドーシャ」とよびます。
体質のことは「プラクリティ」といい、生まれたときから決まっています。一方、生活の中での後天的なバランスによってできた体質を「ヴィクリティ」といい、ヴィクリティをデトックスしてプラクリティに戻すデトックスをすることでアーユルヴェーダでは体質改善していきます。そのために、まず自身のプラクリティを診断する必要があるのですが、方法としては、「ドーシャチェック表」「望診(見た目判断)」「脈診(脈をはかる)」という方法があり、最も手軽にできるのはドーシャチェック表です。ネットでも診断項目の当てはまるものにチェックを入れることで簡単に調べることができます。
ドーシャは3つに分かれており、「風の体質(ヴァータ/空と風)」「火の体質(ピッタ/火と水)」「水の体質(カパ/水と地)」があります。自分になんの要素が強いかによって、通常は3つのどれかのドーシャに決まりますが、中には2つや3つのドーシャに同時に当てはまる人もおり、そういったパターンも含めると10パターンに診断できるとされています。
プラクリティで生まれつきの病気の傾向や生活のポイント、合わない食事やライフスタイルを知ることができるので、診断をした方は以下を参考にしてみてください。
◎風の体質(ヴァータ)
特徴:軽い、乾燥ぎみ、動きが機敏
体質:痩せ型体型、冷え性、便秘、乾燥肌、気分が変わりやすい
バランスが崩れる時:循環器系疾患、神経系疾患、脳卒中、晩秋〜冬、65歳以上の老年期
改善法:香りや音楽で昂った神経をリラックスさせる、消化の良い食べ物を食べる、食事・入浴・マッサージで体を温める
◎火の体質(ピッタ)
特徴:温度が高い、強い、情熱的
体質:中肉中背、食欲旺盛、下痢ぎみ、柔軟性がある、気性が荒い
バランスが崩れる時:肝臓、心臓、消化系、皮膚病にかかりやすい、夏〜秋、64歳までの壮年期
改善法:日中の暑い時間には行動を控えめにする、水分の多くて甘味のある食べ物をとり辛いものは避ける、刺激の多いことを避け自然に触れる
◎水の体質(カパ)
特徴:潤いがある、重い、ゆったりとしている
体質:肥満体質、睡眠過多、体力と持久力がある、白髪が少ない、気性が穏やか
バランスが崩れる時:運動不足、肥満、気管支疾患、春、35歳までの若年期
改善法:早朝散歩や運動をして日中は活動的に過ごす、冷たいものや油っぽいものを避けスパイシーで暖かい食べ物をとる、夕食は軽めにして食べ過ぎに注意する
季節や年齢、さまざまな生活環境によって3つのドーシャは変化します。それが本来の体質のバランスを崩すと病気になることがあります。体調が優れないときは生まれつきの体質が強くなりやすくなるので、自分の強い体質を抑えるように生活するとよいでしょう。
心へのアプローチ
体質があるのに対して、心にも生まれつきの特性があり、生まれつきの考え方のパターンのままに流されすぎると、自分自身をコントロールできなくなってしまうので注意が必要です。特性については、さきほどの3つの体質の紹介で述べた「特徴」「体質」の項目に記載されていますのでご自身の部分をご確認ください。心と体は一体であり、心が不健全だと体にも影響が出るため、内面も美しく変えていくことが大事です。
◎内面を美しくするポイント
①自分に正直になる
自分に素直になって正直に生きると、心と言動が一致し、ストレスがなくなります。インドの哲学では12年間嘘をつかずにいるとその人の言うことがすべて現実化するとされており、心と言葉と行動が密接な関係にあることがわかります。
②怒りを手放す
怒りは負のパワーであるため、抱え込むと体にストレスがかかります。また集中力が薄まり身の回りの物事に失敗しやすくなるため、物事を俯瞰したり別の角度から捉えたりして許すことを大事にしましょう。
③瞑想する
瞑想はこれまでもマインドフルネス瞑想の話(https://spiritual7.blog/archives/720、などでお伝えしてきましたが、リラックス効果があり、体も心も同時に休めてくれます。心の緊張をほぐし、自分を俯瞰して雑念を手放すことで、本来の自分の声に気づくことができます。
上記のような内面を美しくするポイントを実践して、自身の特性に左右されないように心がけていきましょう。
まとめ/アーユルヴェーダの良いポイント
アーユルヴェーダの良さは、自分で調整できることにあります。体が不調になったときには外的情報に頼らず自分で体質改善でき、心も特性が事前にわかっているためストレスを解消することができます。特に心はスピリチュアル的な領域と考えている人もいますが、アーユルヴェーダなら心という目に見えないものも把握することができ、自分の揺れ動いた状態もある程度わかるようになるため、自分とうまく付き合っていくことができます。
今回は基本的な部分のみをお伝えしましたが、さまざまな日常生活での活用法があるので、興味のある方はぜひご自身でも調べてみてくださいね。